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新聞に出ない数字の見つけ方|決算書で見るべき「5か所の地図」

決算書の読み方
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新聞に出ない数字を、書いていきます。

決算のニュースが伝えるのは「増収増益」「最高益」「未達」——つまり見出しになる数字です。しかし、経理として決算書を「作る側」にいた経験から言えば、投資判断に本当に効く数字は、たいてい見出しにならない場所にあります。

なぜか。新聞は速報性と分かりやすさが命なので、全社共通で比べられる数字(売上・利益)を優先します。一方、会社ごとの文脈を読まないと意味が取れない数字は、記事になりにくい。そこにこそ、他の投資家より早く気づける余地が残っています。

今日はその「見るべき5か所」の地図をお渡しします。ちょうどQ1決算シーズン——5か所すべてに、今週の実例つきです。

① セグメント情報 — 「稼ぎ頭の交代」は見出しにならない

会社全体の売上・利益は、いわば平均値です。その内訳——どの事業が稼ぎ、どの事業が沈んでいるか——はセグメント情報にしか出ません。

事業の主役交代は、会社の性格が変わるほどの大事件なのに、全体の数字が無難だと新聞は書きません。

今週の実例: JR九州のQ1で、不動産事業の利益が鉄道事業を上回りました。「鉄道会社」の利益の主役は、もう鉄道ではないかもしれない——(第2回で深掘りします)

② 想定為替レート — 業績予想の「前提」を読む

輸出企業の業績予想は、「1ドル=何円」という前提の上に立っています。この想定レートは決算短信の説明資料に載っていますが、ニュースではほぼ報じられません。

同じ「減益予想」でも、前提が1ドル140円の会社と150円の会社では意味がまったく違います。保守的な前提の会社は、円安に振れれば上方修正の余地を隠し持っています。

今週の実例: ファナックは150円、イビデンは152円。この2円の差にも各社の思想が出ます——(第5回で深掘りします)

③ 減価償却費 — 設備投資の「答え合わせ」

減価償却費は、過去の設備投資が費用に変わって表れたものです。つまりその会社が本当に投資したかどうかの、ごまかしの効かない痕跡です。

「積極投資します」という社長のコメントは新聞に載りますが、償却費が実際に何割増えたかは載りません。償却費の急増は、目先の利益を押し下げる一方で、将来の生産能力がそれだけ積み上がった証拠でもあります。

今週の実例: イビデンのQ1は減価償却費が約5割増。利益の見た目より、はるかに多くのことを語っています——(第4回で深掘りします)

④ 営業利益と純利益の「ねじれ」

見出しは純利益で書かれ、実力は営業利益に出る——このズレは当ブログで繰り返してきたテーマです(損益計算書の見方)。

今週の実例: トヨタのQ1は営業利益が減る一方で純利益は増えました。「増益」の見出しだけ見ると、本業の減速を見落とします。ねじれの理由(営業外・特別損益・税金)を確かめるのが、地図の4か所目です。

⑤ 後発事象・注記 — 「精査中」の一言の重さ

決算書の後ろの方にある注記には、決算日以降に起きた重要事象(後発事象)が書かれます。ここにある「影響は精査中」という一言が、数字になっていない将来のインパクトを示していることがあります。

数字がまだ無いので、新聞は書きようがありません。しかし「まだ数字にできない何か」があると会社自身が言っている——これほど重要なシグナルはありません。

今週の実例: トヨタとJR九州の決算資料には、熊本地震について「影響は精査中」の記載があります——(第3回で深掘りします)

5か所の共通点 — 決算書は「後ろから」読む

お気づきでしょうか。5か所はどれも、決算短信や有価証券報告書の後ろの方のページにあります。前から読むと、サマリーの見出し数字でお腹いっぱいになって力尽きる。経理経験者は逆に、後ろの注記から読みます。会社が「あまり目立たせたくない情報」ほど、後ろにあるからです。

この連載の使い方

  • 第2回以降、5か所を1つずつ、今週の実例の数字で深掘りします(公開次第、この記事にリンクを追加していきます)
  • 速報はX(@moimoi190)で、保存版はこのブログで
  • Q1決算の読み方と合わせて読むと、決算シーズンの装備が揃います

※ 当記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

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